家屋の賃貸トラブル<敷金編>
記事投稿日時:2010年09月28日火曜日
投稿者:よつば司法書士行政書士事務所 カテゴリー: General
ホセです。最近敷金に関する本を読んでいますので、それに関してをちょこっとお話したいと思います。
そもそも敷金とは、不動産の賃貸借契約を締結した際に、借主に賃料の滞納等、債務不履行があったときの担保として貸主に交付される金銭のことです。この敷金は原則、借主側に債務不履行等がない限りは全額返還されるものです。このことを前提に以下の事例について考えていきたいと思います。
今回、貸主と借主との間で家屋の賃貸借契約が終了し、借主は、所定の手続きに沿って部屋を引き渡しました。そして敷金については貸主との間で後日返還という約束をしました。しかしその後、数週間待ってもいっこうに返ってくる様子がないので、電話で確認したところ、貸主が言うには、部屋と畳が汚れており、ハウスクリーニングと畳の張替をし、その費用を敷金から出したので、返還する敷金はありませんとのことでした。最初は返すと言ったのに、後になってハウスクリーニング代と畳の張替代で無くなってしまったので返還はしない。約束が違うじゃないかと借主は激怒しました。さらに今回の借主は借り物ということで、掃除をこまめにし、部屋や畳には傷はつけていませんでしたし、ハウスクリーニングや畳の張替について契約時には何ら説明も受けておらず、また契約書にも特にハウスクリーニングや畳の張替についての記載はありませんでした。貸主の主張は正当でしょうか?
一概には言えませんが、上記の例では、敷金は全額返還すべきだと思います。なぜなら、敷金は借主に家賃滞納等の債務不履行があった場合に充当されるべき性質の金銭であり、上記の事例のように、借主に何ら債務不履行がない限りは全額返還すべきだからです。さらに、貸主の言うハウスクリーニングや畳の張替は、原状回復行為ですが、それは、借主が毎月払っている家賃に含まれるべきもので、借主が負担する根拠はどこにもないのです。
普通に使用し、普通に汚れた分は(自然損耗や通常損耗)毎月の家賃に含まれており、借主に原状回復義務があるとは思えません。それにもかかわらず、貸した当時のキレイな状態で返せという貸主の主張は何の根拠もない主張であり、貸主は敷金を全額返還するべきです。
では仮に、ハウスクリーニング代は借主負担である旨の特約があった場合はどうでしょうか?契約自由の原則により有効でしょうか?ケースバイケースではありますが、借主に一方的に負担を負わせるような特約は無効であるべきだと考えます。なぜなら消費者契約法で謳われているように、当事者に情報の質及び量並びに交渉力に差があるときでも有効としてしまうと借主の利益が不当に害されてしまうからです。ただ、格差があるから一律無効かというとそうでもなく、借主が敷金の性質、原状回復義務が発生する場合、自然損耗・通常損耗は家賃に含まれている等、一般原則を説明したうえで借主が理解納得のうえでの特約ならば借主の利益が不当に害されることはないので、有効としても差し支えないと思います。
今回の事例は契約締結時にキチンと上記のことを説明していれば防げた紛争なので、法律行為(賃貸借契約)を行う際には、貸主は単に建物を貸すだけでなくキチンと説明責任を果たしてもらいたいものです。なかには、敷金そのものの意味をはき違え、礼金のように貸してもらったお礼だから全部もらってしまって構わないのだと思い込んでいる貸主や、国土交通省の敷金と原状回復についてのガイドラインの存在自体を知らない貸主もいます。このような貸主には是非とも賃貸経営から撤退してもらうか、一から勉強して貸主という立場を理解したうえで、貸し出してほしいものです。少々借主目線で話をしてしまいましたが、もちろん、借主側も借りる際には、貸主や仲介業者に頼りっきりではなく、後に争いが起らないように最低限の努力はしてほしいものです。
最後に、長々と書きましたが、あくまでも僕個人の見解であるとういうことをご了承下さい。
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そもそも敷金とは、不動産の賃貸借契約を締結した際に、借主に賃料の滞納等、債務不履行があったときの担保として貸主に交付される金銭のことです。この敷金は原則、借主側に債務不履行等がない限りは全額返還されるものです。このことを前提に以下の事例について考えていきたいと思います。
今回、貸主と借主との間で家屋の賃貸借契約が終了し、借主は、所定の手続きに沿って部屋を引き渡しました。そして敷金については貸主との間で後日返還という約束をしました。しかしその後、数週間待ってもいっこうに返ってくる様子がないので、電話で確認したところ、貸主が言うには、部屋と畳が汚れており、ハウスクリーニングと畳の張替をし、その費用を敷金から出したので、返還する敷金はありませんとのことでした。最初は返すと言ったのに、後になってハウスクリーニング代と畳の張替代で無くなってしまったので返還はしない。約束が違うじゃないかと借主は激怒しました。さらに今回の借主は借り物ということで、掃除をこまめにし、部屋や畳には傷はつけていませんでしたし、ハウスクリーニングや畳の張替について契約時には何ら説明も受けておらず、また契約書にも特にハウスクリーニングや畳の張替についての記載はありませんでした。貸主の主張は正当でしょうか?
一概には言えませんが、上記の例では、敷金は全額返還すべきだと思います。なぜなら、敷金は借主に家賃滞納等の債務不履行があった場合に充当されるべき性質の金銭であり、上記の事例のように、借主に何ら債務不履行がない限りは全額返還すべきだからです。さらに、貸主の言うハウスクリーニングや畳の張替は、原状回復行為ですが、それは、借主が毎月払っている家賃に含まれるべきもので、借主が負担する根拠はどこにもないのです。
普通に使用し、普通に汚れた分は(自然損耗や通常損耗)毎月の家賃に含まれており、借主に原状回復義務があるとは思えません。それにもかかわらず、貸した当時のキレイな状態で返せという貸主の主張は何の根拠もない主張であり、貸主は敷金を全額返還するべきです。
では仮に、ハウスクリーニング代は借主負担である旨の特約があった場合はどうでしょうか?契約自由の原則により有効でしょうか?ケースバイケースではありますが、借主に一方的に負担を負わせるような特約は無効であるべきだと考えます。なぜなら消費者契約法で謳われているように、当事者に情報の質及び量並びに交渉力に差があるときでも有効としてしまうと借主の利益が不当に害されてしまうからです。ただ、格差があるから一律無効かというとそうでもなく、借主が敷金の性質、原状回復義務が発生する場合、自然損耗・通常損耗は家賃に含まれている等、一般原則を説明したうえで借主が理解納得のうえでの特約ならば借主の利益が不当に害されることはないので、有効としても差し支えないと思います。
今回の事例は契約締結時にキチンと上記のことを説明していれば防げた紛争なので、法律行為(賃貸借契約)を行う際には、貸主は単に建物を貸すだけでなくキチンと説明責任を果たしてもらいたいものです。なかには、敷金そのものの意味をはき違え、礼金のように貸してもらったお礼だから全部もらってしまって構わないのだと思い込んでいる貸主や、国土交通省の敷金と原状回復についてのガイドラインの存在自体を知らない貸主もいます。このような貸主には是非とも賃貸経営から撤退してもらうか、一から勉強して貸主という立場を理解したうえで、貸し出してほしいものです。少々借主目線で話をしてしまいましたが、もちろん、借主側も借りる際には、貸主や仲介業者に頼りっきりではなく、後に争いが起らないように最低限の努力はしてほしいものです。
最後に、長々と書きましたが、あくまでも僕個人の見解であるとういうことをご了承下さい。
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Posted by: yotsubaoffice