2011年 9月の記事一覧
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11年09月10日 13時42分46秒
Posted by: suzukishiho
債務整理の事案の依頼人の中にはこう言う人がいる。
「私の借金は違法な金利かもしれないが、私が借りた時はその金利で借りることに納得した(合意した)のだから、その違法な金利での借金でもそのまま支払うつもりだ」
司法書士としては、相談の現場では、
「違法な金利だから正しい金利計算をし直して、それで借金が残っていれば支払いましょうか。それがわかるまでは借金が残っているかどうかもわからないので、支払いを止めてくださいねー」と言えば一応正解になるだろうか。
私はよくそう依頼者に伝えるのだが、依頼者に釈然としない顔をされることがよくあるのだ。
違法な金利だろうと、それに合意したのだから支払うべき、というのは率直に言って説得力のある意見だと思う。
金利についての法制を知って間もない(だいたい私から聞かされた直後である)依頼者にとっては尚更であろう。
法に触れる金利だったとしても、その金利について納得した上で契約した、だから有効なのだと。「約束は約束」だ,ということであろう。
確かに近代私法の三大原則の中に私的自治の原則というものがある。
私的自治の原則で重要なものに、契約自由の原則がある。
これは契約の締結・内容・方式を国家の干渉を受けず自由にすることが出来る、という内容のものである。
国家が金利に上限を定め、規制を超える部分の金利を違法として無効とすることは、この原則に反するものということになる。
しかしながら、現行法(利息制限法をはじめとする金利規制)ではまさにそういった規制を行っている。
そこで合意について考えてみたい。
当事者間で成立した合意について,法律がその効力を否定することができるのはなぜか。あるいはできないのか。できるとすればその理由はなんなのか。
依頼人を説得するために、その理由を考えてみたいと思う。
事務所のHPへ
「私の借金は違法な金利かもしれないが、私が借りた時はその金利で借りることに納得した(合意した)のだから、その違法な金利での借金でもそのまま支払うつもりだ」
司法書士としては、相談の現場では、
「違法な金利だから正しい金利計算をし直して、それで借金が残っていれば支払いましょうか。それがわかるまでは借金が残っているかどうかもわからないので、支払いを止めてくださいねー」と言えば一応正解になるだろうか。
私はよくそう依頼者に伝えるのだが、依頼者に釈然としない顔をされることがよくあるのだ。
違法な金利だろうと、それに合意したのだから支払うべき、というのは率直に言って説得力のある意見だと思う。
金利についての法制を知って間もない(だいたい私から聞かされた直後である)依頼者にとっては尚更であろう。
法に触れる金利だったとしても、その金利について納得した上で契約した、だから有効なのだと。「約束は約束」だ,ということであろう。
確かに近代私法の三大原則の中に私的自治の原則というものがある。
私的自治の原則で重要なものに、契約自由の原則がある。
これは契約の締結・内容・方式を国家の干渉を受けず自由にすることが出来る、という内容のものである。
国家が金利に上限を定め、規制を超える部分の金利を違法として無効とすることは、この原則に反するものということになる。
しかしながら、現行法(利息制限法をはじめとする金利規制)ではまさにそういった規制を行っている。
そこで合意について考えてみたい。
当事者間で成立した合意について,法律がその効力を否定することができるのはなぜか。あるいはできないのか。できるとすればその理由はなんなのか。
依頼人を説得するために、その理由を考えてみたいと思う。
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11年09月08日 23時56分20秒
Posted by: suzukishiho
またアイフルとの訴訟の件。
アイフルからの反論の中で,「原告とは取引の途中で和解したから過払い金は消滅している」という主張がありました。
簡単に事案を説明します。
平成18年3月頃に,アイフルは依頼人と示談した。56万円(元金49万円と利息・遅延損害金7万円)を月1万円ずつ支払う内容。経過利息は0%。
しかし,引き直し計算をすると,平成18年3月の示談をした時点で,実は10万円くらいしか借金がありませんでした。
示談した当時,依頼人はそのことを知らずに示談してしまった,という事案。
意思表示の要素に錯誤がある場合,その意思表示は無効です。重過失がなければ。民法95条。
意思表示の要素に錯誤がある→56万の借金があると思っていたが,実は10万くらいしか借金がなかった点がこの場合の錯誤です。
要素の錯誤とは、その食い違い(錯誤)を認識していればそんな意思表示はしなかったし、通常の人であればそんな意思表示をしないであろうという程度の「食い違い」をいいます。
56万円借金があるとおもっていたから1万円を56回払いする示談をしたのであって,10万しか借金がなければそういう示談はしないであろう,ということですね。10万を10回払いで支払う示談にするんじゃないでしょうか。
一応,重過失がないことも要件になりますが,アイフルが重過失の主張立証に成功するとも思えませんので,本ケースでは余り問題にならないでしょう。
ちなみに,「和解したから過払い金が消滅している」というのも失当かと思ってます。
本ケースでは和解した時点では過払いになっていませんので,消滅する過払い金がありません。
事務所のHPへ
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アイフルからの反論の中で,「原告とは取引の途中で和解したから過払い金は消滅している」という主張がありました。
簡単に事案を説明します。
平成18年3月頃に,アイフルは依頼人と示談した。56万円(元金49万円と利息・遅延損害金7万円)を月1万円ずつ支払う内容。経過利息は0%。
しかし,引き直し計算をすると,平成18年3月の示談をした時点で,実は10万円くらいしか借金がありませんでした。
示談した当時,依頼人はそのことを知らずに示談してしまった,という事案。
意思表示の要素に錯誤がある場合,その意思表示は無効です。重過失がなければ。民法95条。
意思表示の要素に錯誤がある→56万の借金があると思っていたが,実は10万くらいしか借金がなかった点がこの場合の錯誤です。
要素の錯誤とは、その食い違い(錯誤)を認識していればそんな意思表示はしなかったし、通常の人であればそんな意思表示をしないであろうという程度の「食い違い」をいいます。
56万円借金があるとおもっていたから1万円を56回払いする示談をしたのであって,10万しか借金がなければそういう示談はしないであろう,ということですね。10万を10回払いで支払う示談にするんじゃないでしょうか。
一応,重過失がないことも要件になりますが,アイフルが重過失の主張立証に成功するとも思えませんので,本ケースでは余り問題にならないでしょう。
ちなみに,「和解したから過払い金が消滅している」というのも失当かと思ってます。
本ケースでは和解した時点では過払いになっていませんので,消滅する過払い金がありません。
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