農地の共有関係解消と持分放棄
記事投稿日時:2015年03月13日金曜日
投稿者:辻堂新町司法書士事務所 カテゴリー: 藤沢市辻堂の司法書士業務メモ
過去に依頼を受けた事例です。
土地を複数人で共有で所有しているが、権利関係が複雑なので
いまのうちに一人の単独所有にしたい。
そこで各自の持分を単独所有する人に「贈与」しようと考えた。
ただ土地が「農地」なので移転には農地法の許可が必要になると
思ったが、役所に相談したら許可は難しいと言われた。
上記のような相談内容です。
そこで依頼の目的が共有関係の解消(単独所有)でしたので、
各自の持分を「贈与」(一方があげる・相手方は受け取る)でなく、
その持分を「放棄」(自分はいらない)してもらいました。
「贈与」の場合は農地法の許可が必要ですが、「持分放棄」の場合は不要です。
農地法の許可がもとめられるのが当事者の意思表示による移転です。
「持分放棄」は単に自分の持分をいらないという意思表示で移転についての
意思表示ではないからです。
ではなぜ移転するかというと「共有者の一人が持分を放棄したときは、その持分は
他の共有者に帰属する」という規定が民法という法律にあり、これによって移転を
するためです。つまり法律上の効果によって自動的に移転をするので、意思表示に
よる移転ではない。したがって農地法の許可は不要という理屈です。
注意点ですが、他の共有者にその持分割合に応じて帰属します。
例えばA・B・Cが3名で共有している土地でAが「持分放棄」した事例ですが、
Aの持分をBだけに移転することはできません。Cにも持分が帰属する
からです。また共有者ではないDにも当然移転はできません。
BだけまたはCだけあるいは共有者ではないDへ移転が目的の場合は
「贈与」等の他の方法で移転をすることになります。
※移転原因が「持分放棄」でも贈与税の対象にはなりますのでご注意下さい。
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