この依頼人は最初、平成5年に相続登記を地元の司法書士に依頼しました。しかし依頼人の姉の相続書類が取れず、断念しました。その後渥美町内の無料弁護士相談などに行ったそうです。弁護士に相談しても前に進まなかったそうです。アメリカ人と結婚してアメリカに行って消息不明になっており、それで弁護士も真剣な応対が出来なかったと思われます。その後、長い間そのままにしていましたが、平成20年の1月に渥美では司法書士が私一人になったのを見て、私の所へ相談にくる気になったのでしょう。平成5年当時に揃えた相続書類などの戸籍謄本や相続人の特別受益証明書などを持って来られました。最初の先生は登記は出来なかったかもしれませんが、しっかりと書類作成料は頂いており、損は無く最後は依頼人に書類作成料とともに返却されたと思いました。そんなことを考えながら私も書類を見ていました。しかし弁護士に相談しても何も出来なかった事を聞きまして、私もその時は無理だと思いました。勿論持ってきた書類は依頼人に返しました。それから平成27年になり、豊橋支部の先生が講師のテーマ「不在者財産管理人の実務」の研修会がありまして、その研修会で初めて、この相続登記が出来るのではないかと思いました。私は岡崎の中継会場にて研修を受けましたので、この先生とはその時は話をしませんでしたが、地元の研修会でこの話をしました。しかし結局は自分でしようと思いました。今から考えると私も1回ぐらい失踪宣告の仕事をしていれば簡単に今回の失踪宣告申請を家裁へ出せたと思います。そうです、これがはじめての失踪宣告の仕事ですよ。最初からアメリカで消息不明の仕事は難しすぎて、大失敗をするかもしれませんが、本人の最後の住所は戸籍の附票だと私の事務所のある渥美町であり豊橋の家裁での仕事ですからね、やってみたかったですよ。結局誰にも相談せずに色々調べました。探偵事務所の仕事のように、聞き込みもしましたよ。アメリカからの手紙なども時系列に並べて一覧表などにしました。依頼者の親戚の方が頼まれて二度ほどアメリカに会いに行きました。一度目は会うことが出来ましたが、二度目の時は前にいたところにはいなかったそうです。その時には既に亡くなられたと思います。手紙も一度目からくる様になりました。多分手紙が来なくなった頃に、体調を崩されたと思います。時系列にするとよく分かりました。時系列書類も裁判所に提出しました。そして5月に連絡用の切手4,108円分を付けて失踪宣告申請をしました。失踪宣告まで半年掛かるみたいですが、却下もありますので、失踪宣告で確定して欲しいですよ。
 
 去年の失踪宣告取消申請が結構いかされていまして、たまにはボランティアもいいものですよ。失踪宣告は結構ずぼらないいかげんな書類でもいいかもしれませんが、私は少しまじめすぎたかも知れません。


参考になった研修会
不在者財産管理人の実務
平成27年1月31日 土曜日
13:30~16:00 【本会会員研修】 
テーマ:不在者財産管理人の実務
講 師:鈴木会員 (財産管理業務研究委員会)
場 所:会館/中継会場:岡崎商工会議所
単位数:2.5単位



 

 

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