呪われた登記 その1 No208
記事投稿日時:2014年09月02日火曜日
投稿者:司法書士川崎恭也事務所 カテゴリー: General
個人へ売買による移転登記が、なぜその当時出来なかったかは、今もあの当時も分かりません。私の処へ移転登記を頼みにきた時には既にかなりの時間経過があり、当時の売主の方は既に亡くなっていました。ある法人が私の所へこの移転登記を依頼に来たときには、この法人の職員と売主の相続人との間で既に話が済んでおり、幾らかのハンコ代を払って相続人から移転することが決まっていました。法人に勤めている職員の方より私に相続人の所へ行って移転登記書類に実印を押してもらい、移転登記をして欲しいとの依頼を受けました。早速相続人に全員集まってもらい、移転登記用の書類を持って相続人の自宅に行く事になりました。相続人は全員集まっていました。ハンコ代は既に決まっていましたので、そんなに難しい仕事ではありません。ハンコ代も私が決めていたならもっと少なかったと思います。私にしてみれば結構いい金額だと思っていました。座敷に通されて大きな座敷用の机の前に座り相続人の方々に話を始めました。「皆さんの印鑑証明書が1通ずつ要ります。」とまあこんなことを話したと思います。亡くなったお父さんの実印の押された売り渡し証書も持って行きましたね。これらを見せながら私が持ってきた新しい売り渡し証書や委任状に実印を押して下さいなどの事を言いました。相続人の中に旦那さんも一緒に連れて来た方がいまして、その旦那さんが突然話の中に入ってきて、「俺が話をつけてやる」と言い出しました。私も困ってしまいました。もう話が済んでいるのに何んの話をするのですか?と聞きました。私も金額を決める権利もありませんので、結局その場は何も決まらず解散しました。以上の話を法人の職員に話しました。しばらく様子を見る事にしました。それから1カ月後にこの旦那さんが不慮の事故で亡くなってしまいました。私もこの未亡人になった方に電話しました。結構ひどい電話をしましたね。「亡くなった父親が売買した土地で、もっとお金が欲しいと言うのは、父親もあの世で怒っているんですよ。旦那さんはバチが当たったんですよ。」とまあこの様なひどいこと事を言いました。さすがにそれから一年間はほったらかしになりましたね。一年後法人の職員の方が来られましたので委任状や売り渡し証書などを渡しました。私もひどい事を言っていましたので、「今度はすぐにくれますよ」と職員の方に言いました。勿論今度は何も起こらず必要書類を集めて持って来て頂きました。相手の方もまた死人が出たら大変ですからね。早速移転登記をして完了しました。
この話は渥美半島の渥美町にまだ渥美出張所とゆう登記所があった頃の話です。昭和の時代の話です。
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