2012年 4月の記事一覧

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12年04月30日 10時05分30秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は嫡出子と非嫡出子の違いについて説明しました。

今回のその続きです。

法律婚から生まれた子は嫡出子、それ以外は非嫡出子となることは前回も取り上げました。

しかし、法律婚から生まれた子は当然に嫡出子の身分を得るのでしょうか?

実は法律婚から生まれた子が当然に嫡出子となるわけではなくその推定が働くだけです。つまり民法772条において「妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定する」とだけ規定しており、さらに婚姻成立の日から200日後、または婚姻の解消の日・取消の日から300日以内に出生した子は婚姻期間中に懐胎したものと推定されます。この後半の規定によって女性の再婚禁止期間が定められます。これらの規定が定められているのは通常であれば夫の子であるが、やはり現実問題として夫以外の子の可能性があり、さらに現代より科学的に親子であることを証明することができない時代に定められているのでこのような規定があります。この規定を受けて夫は嫡出否認の訴えを提訴することが可能です。但しこの提訴期間は夫が出生を知った時から1年以内となっています。

次回もこの続きです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年04月29日 08時56分38秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回から親子関係について説明しています。

今回もその続きです。

親子関係は大きく分けて2つの区分に分けることができ、法律婚から出生した場合と養子縁組の場合は嫡出子、法律婚以外から出生すると非嫡出子となるのは前回説明しました。このような区分を設ける意味は何なのでしょうか?

実はこの区分は相続に大きく関係してきます。

以前も取り上げましたが、非嫡出子の相続分は嫡出子の半分しかありません。血の繋がらない養子と認知した婚外子たる実子の相続分は養子の方が優先します。これら一見すると差別のように見える区分も一応最高裁は現時点において合理性を認めています。(但し最近の高裁判決は違憲判決を出している例も多いです)

ちなみに遺族年金に関してはこのような差別はなく、遺族年金の遺族の範囲は「生計維持関係」の有無でことなります。つまり嫡出子であっても生計維持関係になければ遺族の範囲に含まれず、非嫡出子であっても生計維持関係にあれば遺族の範囲に含まれます。

次回もこの続きです。

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12年04月28日 09時00分05秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁の解消の効果について説明しました。

今回から親子関係についてみていきます。

実は親子関係には法律上大きく分けて2つの区分に分けることができます。

一つ目は親子は通常であれば婚姻を経て出生して成立します。この場合の出生した子は夫婦の「嫡出子」としての身分を得ます。

二つは何らかの事情において婚姻関係にない男女の関係から出生した子です。この場合女性(親)は分娩の事実から親子関係は当然に発生します。が男性(親)の場合は、「認知」をしなければ親子関係が当然には発生しません。この場合の子の身分は「非嫡出子」と呼びます。

つまり法律上の婚姻関係から出生したら「嫡出子」となり法律上の婚姻関係でない場合から出生すると「非嫡出子」となります。またこれ以外に養子縁組を結ぶと子は「嫡出子」の身分を得ることになります。

これら嫡出性を求める理由はどんなものなのでしょうか?

次回以降見ていきます。

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12年04月27日 09時03分14秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁の解消について説明しました。

今回は法律婚と事実婚の競合についてみていきます。

法律婚が解消されないまま、事実婚が続いた場合他方内縁配偶者が死亡するとどのような効果が発生するのでしょうか?仮に事実婚状態の夫Aと妻BがいたとしてAには法律婚配偶者のCがいたとします。この場合Aが死亡するとAの相続人はCとなります。(他に相続人がいないと仮定して)遺言がなければCが相続放棄をしない限りBがAの財産を承継することはできません。(特別縁故者も裁判所が認めなければ承継できません)また仮に遺言でAの財産をBに承継させる旨の内容の遺言を残していたとしても、Bには遺留分がありすべてを承継させることは難しいと言えます。

次に遺族年金の取り扱いはどうなるのでしょうか?

遺族年金の遺族の範囲内に事実婚配偶者が含まれることはこのブログで何度も取り上げていますが、あくまでそれは法律婚がないことが前提となっています。例え事実婚があったとしても原則は法律婚の配偶者が遺族の範囲に含まれます。但し、事実婚配偶者が法律婚の配偶者より優先される遺族として取り扱われる例外として届出による婚姻関係がその実態を失ってい形骸化し、かつその状態が固定化しており近い将来には解消される見込みがなかった場合に限って事実婚配偶者が遺族と認められることになります。

次回からは親子についてみていきます。

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12年04月26日 09時03分52秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁の解消の効果について説明しました。

今回もその続きです。

内縁関係は互いの相続人にはなれないので、死亡による解消の場合に財産分与の法理を持ち込むことは出来ません。がそれだけでは内縁配偶者の保護に欠ける部分もあるため、借家権の援用を認める判例もあることは前回説明しました。その他にも例えば、内縁開始後に夫婦が共同で取得した不動産を夫の名義で登記していた建物を内縁の夫が死亡した後、夫の相続人から不動産に居住しているのは不当であるとして賃料相当額の支払いを求めて提訴された事件で、最高裁はまず不動産取得に関して内縁の妻の貢献を認めたうえで(1/2の共有持分)その後の使用についても「内縁夫婦がその共有する不動産を居住又は共同事業のために共同で使用していたときは、特段の事情のない限り、両者の間において、その一方が死亡した後は他方が右不動産を単独で使用する旨の合意が成立していたものと推認されるから、内縁夫婦の一方の死亡後、他方が単独で継続使用していたとしても、その使用利益につき、死亡した内縁当事者の相続人に対して不当利得返還義務を負わない(最判平成10.2.26)」として相続人の主張を退けました。

次回は内縁と法律婚の競合について見ていきます。

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12年04月25日 08時47分13秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁の解消による効果について説明しました。

今回もその続きです。

内縁の解消が相手方の死亡による場合、財産分与の法理を持ち込むことは相続と混同してしまうので採用することは出来ないことを前回説明しました。確かにこれを認めると相続法理がおかしくなってしまいます。ただこれだけでは実態上婚姻関係にあった内縁配偶者を保護しなければならない場合、割り切れない部分もあったりします。例えば内縁の夫名義で家を借りていた場合、借家権を相続できないから死亡によって退去しなければならないとすればそれもおかしい結果となるでしょう。そこでまず旧借家法は死亡した内縁配偶者に相続人がいなければ借家権の承継を認めました。(現行法にも認められています)さらに相続人がいても、相続人の借家権を援用して居住できることを「大家」に対して主張することが認められます。但しこの場合家賃の支払い義務は「相続人」にあるので、相続人が家賃の支払いをしなければ退去しなければいけなくなります。

次回もこの続きです。

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12年04月24日 08時45分44秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁の解消の効果について説明しました。

今回はその続きです。

事実婚配偶者は他方当事者の相続人にはなれません。しかし、内縁の解消で財産分与は認められます。では、内縁の解消が他方当事者の死亡であって他方当事者の相続人に対し財産分与義務を相続したとして請求は可能でしょうか?

この問題に対し最高裁は請求を認めませんでした。その理由として「民法は、法律上の夫婦の婚姻解消時における財産関係の清算及び婚姻解消後の扶養については、離婚による解消と当事者一方の死亡による解消を区別し、前者の場合には財産分与の方法を用意し、後者の場合には相続による財産を承継させることでこれを処理するものとしている」として離婚と死亡による婚姻の解消を区別して「死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは。相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むことで、法の予定しないところである(最判平成123.10)」というものでした。

確かにこれを認めると相続そのものがおかしくなってしまいます。ただこの問題は一筋縄ではいかない問題もあったりします。

次回もこの続きです。

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12年04月23日 08時30分56秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁関係の不当破棄の効果について説明しました。

今回は内縁の解消の効果について説明します。

判例は事実婚状態(=内縁)にある男女の関係は婚姻に準じる関係と認めています。

では、事実婚状態の解消にあたってどのような効果が発生するのでしょうか?

まず離婚において財産分与により夫婦の共同財産の清算が行われます。

そして内縁の解消においても離婚に準じて財産分与が認められています。

では、内縁の解消が事実婚配偶者の死亡の場合、どうなるのでしょうか?

前提として事実婚配偶者は互いの相続人にはなれません。これは婚姻の効果からしても明らかです。

しかし、内縁の解消が合意によれば財産分与は認められます。

これを踏まえて次のような事件がありました。

X女はAとの不倫関係にあり、Aの妻が死亡後は事実婚状態にありました。Aはタクシー会社の社長で資産も結構ありました。Aが病に倒れた後もX女は療養看護にあたっていましたが、Aは平成9年に死亡しました。ところでAには法律婚配偶者との間に2人の子がおり、Aの財産を相続しました。ところがX女がAとの内縁の解消による財産分与義務を相続しているとして訴訟を起こしました。

この結末はいかに。

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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☎099-837-0440
12年04月22日 08時35分17秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁の不当破棄について説明しました。

今回もその続きです。

内縁関係を不当に破棄すれば損害賠償を請求できることは前回の内容です。では内縁関係の不当破棄に第三者が関与していた場合第三者の責任はどうなるのでしょうか?

例えば事実婚状態に入った息子夫婦の姑が嫁をいびり、結果内縁関係が破たんした場合です。

この場合、判例は「内縁の当事者でないものであっても、内縁関係に不当な干渉をしてこれを破たんさせたものは、不法行為者として損害賠償の責任を免れない(最判昭和38.2.1)」として損害賠償責任を負わせました。

このように第三者であっても内縁関係に不当に関与して破綻させれば、損害賠償責任を負うことになります。

次回は内縁の解消の効果について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年04月21日 09時25分47秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は内縁関係の効力について説明しました。

今回もその続きです。

内縁関係の不当な破棄について不法行為による損害賠償及び婚姻費用の分担義務違反による費用の請求は認められたのでしょうか?これに対して最高裁は「いわゆる内縁は、婚姻の届出が欠くがゆえに、法律上の婚姻ということはできないが、男女が相協力して夫婦として生活を営む結合であるという点においては、婚姻関係と異なるものではなく、これを婚姻に準じる関係というを妨げない」として内縁を婚姻に準ずる関係と認めたうえで「内縁も保護されるべき生活関係に外ならないのであるから、内縁が正当な理由もなく破棄された場合には、故意または過失により権利が侵害されたものとして」不法行為による損害賠償請求を認め、さらに「内縁が法律上の婚姻に準じる関係と認むべきであることは前記の説明のごとくである以上、民法760条の規定は、内縁も準用されるべきものと解されるべき」として婚姻費用分担義務違反による費用請求も認めました。

これは以前紹介したこともある婚姻予約=婚約の不当破棄ですら損害賠償が認められるのですから婚約よりさらに婚姻に近い内縁関係が認められないのはおかしい結果になってしまいますので当然の結果であると言えます。

次回もこの続きです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年04月20日 08時46分59秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回から内縁関係について説明しています。

今回もその続きです。

内縁に民法以外の法令や判例上保護される場合があると前回でも取り上げました。

その他にはどのような効果があるのでしょうか?

婚姻予約=婚約の不当破棄は損害賠償の対象となることは以前説明しました。では事実婚の不当破棄はどのように取り扱われるのでしょうか?

X女はYと結婚式を挙げ事実上の婚姻状態に入りました。X女はYの実家で婚姻生活を送ることになりましたがYの母親=姑との仲が悪くYもX女のみかたになってくれず、肩身の狭い日々を送っていたさなか健康を害しX女の実家で静養することになりました。それから9か月弱たった頃Yの長兄名でX女は離婚後自身の荷物を引き取っていないので至急取りに来られたし旨の内容証明郵便が届き(時代は昭和20年後半です。この時代はまず事実婚状態を先行させある程度様子を見てから届けるといった風習があったみたいです)、事実婚が終了されるに至りました。そこでX女はYに対し不法行為及び婚姻費用分担義務の準用による医療費の支払いを求めて訴訟を起こしました。果たしてX女の請求は認められたのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年04月19日 08時33分07秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は離婚の効果について説明しました。

今回は内縁について説明します。

内縁とは事実上婚姻状態と同じ生活を営みながら、法律上の要件である婚姻届を提出していない男女の関係を指します。この場合相手方を事実婚配偶者と呼びます。この事実婚状態に至っているのにはそれぞれの理由がるでしょう。例えば婚姻の効果である姓が変わることがいやで事実婚状態であるとか、婚姻が事実上破たんしているが離婚まで至っていないため婚姻届を提出できないとか様々な理由があると思われます。民法上ではこのような実態上の婚姻状態に対し法律上の効果は定められていませんが、判例やその他の法令で保護される場合があります。例えば遺族年金では事実婚配偶者の立場は法律上の配偶者と同じです。(但しほかに法律上の配偶者がいないことを前提)その他にも内縁の効果があります。

次回は内縁の効果を見ていきます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年04月18日 08時51分21秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は離婚に伴う復氏について説明しました。

今回はその他離婚の効果について説明します。

離婚により他方当事者の推定相続人で無くなります。その他他方当事者の親族=姻族関係が終了します。離婚の場合は当然に終了しますが、一方配偶者の死亡による婚姻の解消の場合は生存配偶者の意思表示がなければ姻族関係は終了しません。

また次回のテーマとも絡みますが、離婚により推定相続人から外れることになりますが、離婚の法的効果のみを享受する仮装離婚の場合、事実婚状態が続く限り他方当事者が死亡したときは遺族年金の対象となる事実婚配偶者となります。

次回は事実婚状態にある=内縁関係について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年04月17日 08時39分19秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は養育費について説明しました。

今回はその他離婚の効果について説明します。

婚姻の場面で説明していませんでしたが、婚姻届を提出すると夫婦は片一方の姓を名乗ることになります。(民750)そして戸籍が新たに調製されることになります。では離婚をするとこれらはどうなるのでしょうか?まず婚姻によって姓を改めていた者は原則婚姻前に名乗っていた姓に復することになります。但し離婚から3ヶ月以内に戸籍法の定めるところによって届出をすれば婚姻時に改めていた姓をそのまま名乗ることができます。これを婚氏続称と呼びます。この制度は結構多いらしいです。また戸籍については婚姻によって調製された戸籍から離脱し、元の戸籍に復するか又は別途独立した戸籍を調製することになります。

次回も離婚の効果について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年04月16日 08時55分02秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は養育費について説明しました。

今回はその続きです。

父と母が離婚時に未成年の子に対する養育費を請求しない旨の合意を交わした場合、その合意の効力はどうなるのでしょうか。

民法881条に「扶養を受ける権利は、処分することができない」と定めれらています。さらに裁判例でも「未成年者の扶養義務者である父母の間で、その一方が他方に対し養育費を請求しない旨の念書を差し入れたとしても、それが子の親権者として子を代理し、父に対して生ずる将来の扶養請求権の放棄であれば本条(民881)によりその効力はない。また、仮に前記母が負担する養育費を父に求償しないことを定めたに過ぎないものであれば、右協議は両扶養義務者の間で債権的な効力を持つに過ぎないから、扶養権利者がその具体的必要に基づいて扶養料の請求をすることは何ら妨げない(札幌高裁昭和43.12.19)」として父母の養育費を請求しない旨の合意は無効であると判断しています。

次回も離婚の効果について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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