2012年 3月の記事一覧

12年03月17日 08時49分41秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は再婚待機期間について説明しました。

今回はその他婚姻障害事由について説明します。

④一定間の親族間でないこと

これは優生学的配慮及び倫理的配慮から禁止されていると言われます。

まず優先学的配慮として直系血族及び3親等内の傍系血族との婚姻を禁止しています。ちなみに3親等は叔父叔母等が当たりいとこはあたりません。また例えば養子に迎えた子と実子間が婚姻することは許されます。(優先学的配慮が必要でないので)

次に倫理的配慮として養親と養子の離縁後の婚姻や直系姻族間の離婚後による姻族関係の終了後の婚姻も許されていません。一旦法律上実の又は義理の親子関係になればそれが解消しても婚姻が許されないことになります。これに対して合理性が認められないとの意見もあります。私も実はそう思っています。

次回はその他婚姻障害事由について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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☎099-837-0440
12年03月16日 08時41分08秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は再婚禁止期間について説明しました。

今回はその続きです。

さて、女性に関して前婚の解消から6か月間は婚姻することができません。それは子の推定が重なってしまうからです。しかし実際に前婚と後婚で推定が重なるのは実は100日だと言われています。そこで再婚禁止期間を100日に軽減するような動きもありますがまだ改正には至っていません。

子の再婚禁止期間の目的は子の父親が推定が重なることで不明になることを防止する目的ですので、例えばこの禁止期間に子を出生した場合や同じ人と再婚にした場合、例えば勢いで離婚したけど頭を冷やしたらよりを戻したくなり再び婚姻したなどは適用がなく禁止機関であっても婚姻が可能です。

次回はその他婚姻障害事由について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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12年03月15日 08時40分58秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は重婚について説明しました。

今回はその他の婚姻障害事由を説明します。

③再婚禁止期間を過ぎていること

これは女性のみに適応がある規定です。条文は「女は、前婚の解消又は取り消しの日から6箇月を経過した後でなければ、再婚することができない」とされています。一見女性差別にも通じそうなこの規定はなぜ設定されているのでしょうか?実は別の規定からこの条文の合理性が出てきます。それは親子の推定規定です。母に関しては分娩の事実があれば親子関係は確定しますが(代理分娩に関しては除く)、父に関しては出生した子が必ずしも父と生物学上の子とは限りません。なんかすごいことを書いていますが現実その可能性も否定できないため民法772条により「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定」し、第二項で「婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取り消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と規定されています。この第二項において再婚禁止期間を設けなければ前婚と後婚の推定が重なってしまうので設定しています。

次回のこの続きです。

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12年03月14日 08時52分35秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は重婚について説明しました。

今回はその続きです。

さて重婚の取消権者に前婚配偶者が含まれ、前婚配偶者の取り消し権行使の前に後婚が離婚した場合、後婚を認めたくない前婚配偶者がなお取消権にこだわった場合結果はどうなるのでしょうか?この事件は最高裁まで行きましたが結果として取り消し権行使を認めませんでした。(最判昭和57.9.28)その理由として特段の事由のない限り取消権の効果と離婚の効果は同じであるので後婚が離婚しているのにわざわざ取消権を認める必要がないのを挙げています。ちなみに重婚は刑法犯罪です。(刑法184条 2年以下の懲役)ただ今回のように結果として重婚になった場合はあたらないでしょう。

また失踪宣告により前婚配偶者が死亡したとみなされ相続が開始し、再婚した後婚は例え失踪配偶者が再び現れ失踪宣告が取り消されたとしても失踪に善意であれば前婚は復活しません。

次回も婚姻障害事由について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年03月13日 08時41分32秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は婚姻障害事由について説明しました。

今回もその続きです。

②重婚でないこと

婚姻は一人のみとしかすることができません。日本は一夫一婦制ですので当然といえます。誤って後婚の婚姻届が受理されると後婚は取り消しのできる婚姻となります。取り消された効果は離婚に準じます。取消権者は当事者、その親族検察官までは不適年齢婚と同じですがその他として重婚関係の配偶者及び前婚配偶者まで含まれます。この前婚配偶者の取消権についてある問題が発生しました。

前婚の離婚後、再婚したAとBが前婚の配偶者Cにより前婚の離婚は無効であるとして裁判を起こされそれが認められて前婚が復活し結果重婚となってしまいました。CはABの婚姻を取消すため裁判を起こしましたが、その間ABは協議離婚をしました。がCとすれば離婚は婚姻が有効に成立した上のものであるとして、あくまで取消権による婚姻の取り消しによる婚姻の解消を求めました。ちなみに離婚だろうが婚姻の取り消しだろうが法的効果は同じです。CはどうしてもAB間の婚姻が有効であったことを認めたくなかったようです。この主張は認められるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年03月12日 08時33分06秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は婚姻の成立要件について説明しました。

今回もその続きです。

婚姻の適年年齢に関して未成年者の婚姻には父母の同意が必要となります。父母に親権が有るか無かは関係ありません。父母の一方が同意しないときは他の一方の同意だけで足ります。また父母の一方が知れないとき、死亡したとき、意思を表示できないときも一方の同意のみで足ります。但しこの同意権は強力なものではなく同意なしの届け出が受理されると有効な婚姻届として取り消すことはできません。以前某有名行政書士の漫画で父母の同意なしの婚姻届が取り消し可能な旨を説明していましたが、それは間違いです。この漫画は時々読者に誤った法律の説明をしていて困ったものだなと思っています。(その他母の再婚相手を養子縁組もしていないのに親権者であると説明していたり)

次回も婚姻の成立要件について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年03月11日 08時36分29秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は婚姻の成立要件について説明しました。

今回はその続きです。

婚姻は適齢年齢に達しなければすることができないとされていますが、仮に不適年齢であるにもかかわらず婚姻届が受理されてしまった場合婚姻自体は成立していないのでしょうか?

実は婚姻が成立していないのではなく、その婚姻を「取り消す」ことができるとされています。これはどう言うことでしょうか?まずその取消権を行使できる者から見ていきます。取消権者として各当事者、その親族及び検察官です。また不適年齢者が適齢に達すると各当事者以外の取消権者の取消権は消滅します。さらに各当事者の取消権は適齢に達した後3か月間は取消権を有しますが、3か月経過すると消滅します。取消権の効果は離婚と同じです。この離婚と同じというところがミソで、通常の契約における取消権は契約時に遡及して無効となりますが、婚姻における取消権は例え法の規定に違反していたとしても取り消されるまで形成された法律関係は無効にはならずただ取り消しにより将来に向かって解消することになります。これは他の禁止自由であっても同じです。

次回もこの続きです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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12年03月10日 09時00分26秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は夫婦間の契約取り消し権について説明しました。

今回から婚姻の成立要件について説明します。

まず、婚姻をすることができない事由=婚姻障害事由から説明していきます。

①婚姻年齢に達したこと

日本の民法では男が満18歳、女が満16歳に達していなければ婚姻することができません。これは割と知られているのではないのでしょうか?男女間で年齢が異なることに合理性を持たないとしてたびたび男女ともに満18歳に統一するように提言がなされているようですが実現はしていません。

このように適齢に達していない婚姻は受理されないとされていますが、誤って受理された場合はどうなるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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☎099-837-0440
12年03月09日 08時30分30秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は夫婦間の契約取り消し権について説明しました。

今回はその続きです。

夫婦間には契約取り消し権が認められていることは前回も説明しました。がそれを条文通り無条件で認めれば離婚前に合意していた財産分与についても取り消しかねません。そこで最高裁は夫婦が破綻しているような場合の贈与の合意は夫婦間と契約取り消し権を行使できないと判断しました。さらに契約時には破綻していなくても破綻してからの取消権すら認めず「民法754条にいう『婚姻中』とは単に形式的に婚姻が継続していることではなく、形式的にも、実質的にもそれが継続していることをいうものと解すべきである」と判事しています。要するにこの契約取り消し権は夫婦が円満のなかで取り消しが認められるに過ぎず、裁判沙汰になっていれば最早取消権は認められないという結論になっています。

次回は婚姻の成立要件について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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☎099-837-0440
12年03月08日 08時39分49秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は夫婦別産制について説明しました。

今回は夫婦間の契約取り消し権について説明します。

面白い規定だと思います。

「夫婦間で契約をしたときは、その契約は、婚姻中、何時でも、夫婦の一方から取り消すことができる。但し第三者の権利を害することはできない」とされています。

つまり、夫婦間で結ばれた契約は強制することができず、相手方の任意に任せるしかないとのこと読むことができます。ですが、仮に夫婦間で結ばれた契約を強制させるために裁判を行うとすればその婚姻は破たんしているわけで離婚前に合意していた財産分与までこの取消権により否定しかねません。

では裁判所はこの規定をどのように判事しているのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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☎099-837-0440
12年03月07日 08時47分44秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は夫婦別産制について説明しました。

今回はその続きです。

夫婦別産制に関して前回婚姻中に取得したマイホームや家電製品等は実室的には共有であると説明しましたが対外的には登記等で一方配偶者名義になっていれば共有の状態にはなりません。ただ婚姻が継続中で実室上破綻していなければさほど問題になることもありません。婚姻が終了するときに顕在化するだけです。例えば死亡すれば配偶者の法定相続分は1/2ですし、離婚時の財産分与は大体1/2であるとされています。

次回は夫婦間の契約取り消し権について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



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☎099-837-0440
12年03月06日 09時14分13秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は夫婦別産制について説明しました。
今回はその続きです。
日本の民法は夫婦が婚姻前に取得した財産及び婚姻中に自己の名で得た財産は、その個人の財産とし、婚姻中にどちらに属するか不明な財産はその共有に属すると推定されます。夫(または妻)が勝手に作った借金をもう片方が負うことは無いことは何度も説明しました。がこの規定を厳格に適用すればいくつが問題点が発生していしまいます。
「自己の名で」得た財産をその個人の財産とすれば専業主婦やパートで働いている妻(もしくは夫)は婚姻中の財産が共有でなくなりほとんど見かけ上相手方の財産になってしまいます。これでは不都合になってしまいますので、例えば婚姻中に取得したマイホームや冷蔵庫等の電化製品は例え夫の名で取得したとしても実質共有であるとされます。(これは離婚時の財産分与に絡んできます)
次回はもう少しこの夫婦別産制の問題について説明します。
ここまで読んでいただきありがとうございます。

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12年03月05日 08時39分54秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は日常家事の連帯責任について説明しました。

今回は「夫婦別産制度」について説明します。

日本の民法の夫婦の財産の原則は「夫婦別産制」となっています。条文では「夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする」と定められています。特有財産とは夫婦の共有財産とならない一方配偶者に帰属する財産のことです。そのため婚姻中でも一方配偶者が負った負債は保証人や連帯債務者にならない限りもう一方配偶者が負うことは原則ありません。ただ日常家事に関するものだけ連帯責任を負うことになります。

日本の民法は762条1項でこのように定め、2項で「夫婦のいずれかに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する」と定めています。

次回はこの夫婦別産制と共有の推定について深く見ていきます。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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12年03月04日 08時39分53秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回はに日常家事分担義務について説明しました。

今回もその続きです。

日常家事については夫婦の共同財産の処分権も含むことは前回説明しました。

では相手方配偶者の特有財産(夫婦の共有に属しない財産)の処分が有効となることがあるのでしょうか?

事件はこのようなものです。

妻が婚姻前から所有していた土地を夫が自身の事業の債務の弁済に変えて勝手に債権者へ所有権移転登記を行いました。それに気づいた妻が夫と離婚するとともに債権者に対し登記の抹消を求めたもので最高裁は登記の抹消を認めました。ある意味当然と言えますが、実は民法の規定において表見代理の本人の責任を定めていて代理人がその権限外の行為を働いたとき第三者がその権限外の行為を権限内だと信じるに正当な理由があればその行為が無効とならず有効となってしまいます。これはそのような代理人を選任した本人の責任を問うものです。この事件において争われたのはこの規定の適用だったのですが、夫婦の場合確かにそのような配偶者と婚姻した点で間違いだったのかもしれませんが、積極的に代理人として所有権移転登記の申請を選任したわけではなく無断で勝手に行った行為を本人に帰責させることは夫婦別産制を損なうことになり、相当ではないと判事しています。

次回は夫婦別産制について説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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12年03月03日 08時44分54秒
Posted by: fujiwarasihousy
前回は日常家事連帯責任について説明しました。

今回はその続きです。

この「日常家事」とはどのようなものでしょうか?

前回の例のように食材の購入は日常家事に該当するでしょう。その他として日用品の購入や保険医療教育等の債務や夫婦が共同生活をしていくうえで必要な資金の借り入れ等も含まれるでしょう。ただ一概に日常家事に含めることが妥当でない場合もあり、個々の夫婦で判断する場合もあります。

この規定は日常家事に関して生じた債務に関して連帯して責任を負う旨を定めています。では夫婦の共同財産を一方の配偶者が勝手に処分した場合その法律行為は第三者との関係で有効になる旨までこの規定で含んでいるのでしょうか?

判例や通説はこれを認めています。ではもう少し踏み込んで一方の配偶者が相手方の特有財産(夫婦の共同財産に属さない財産)を勝手に処分した場合はどうなるのでしょうか?

次回説明します。

ここまで読んでいただきありがとうございます。



藤原司法書士事務所

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